2018.07.23
筋トレデザインVol.1 言葉だけでイメージをつくる編
ようこそいらっしゃいました。
わたくし、デザイナーの土田と申します。
日々鍛錬を続ける、デザインを志す全世界のみなさまとともに、実践的に、そして不定期に学ぶ筋トレデザイン。
本日より熱く始めていきます。
何故「筋トレ」なのか
トレーニングをスタートする前に、 銘打った筋トレデザインの所以について、はじめにお話しておきます。
私がデザイナーになったのはおよそ5年前。
初々しい新卒だったあの頃と比べ、グラフィックの腕前は格段に上がっている(はず)です。
そのパワーは一体どのように蓄えられていったのか?
それは間違いなく日々の仕事やプライベートでの実践。
バナー、Webサイト、アプリ、印刷物、時には映像、3D…。
プライベートではドット絵をチクチクと作ったり、美術館へ出かけたり。
そう、まさに筋トレと同じ反復練習。
そのひとつひとつ全てに全力で注いでいると、
「あ、あの時作ったサイトの文字の組み方が応用できるな」
「このグラフィックの見せ方、あのデザイナーさんらしいな」
「あのアプリの動きをここに取り入れたら、もっと伝わりやすいかも」
と、作るとき、考えるときに媒体に関わらず実践に効果が現れるのです。
デザインは筋トレ。
ご依頼いただくお仕事、趣味で作るイラスト、
実際に作り、見て、学び続けることこそが、デザイン上達の近道だと考えた筋トレデザイン。
第一回は言葉に着目してみました。
Vol.1 言葉だけでイメージを伝える編
バナーの制作を任されたけど、写真素材がない!
原稿の量が多すぎて、どうレイアウトしたら良いかわからない!
ニュアンスだけ伝えられて、アイデアが固められない!
そんな時、僕にもありました。
今回は上記のようなピンチをチャンスに変えるべく、
弊社デモの広告を想定し下記内容でイメージを作っていきたいと思います。
本来こんな縛りが生じることはないと思いますが、トレーニングとしてレッツデザイン!
内容
300×250pxの自社サイトの広告バナー制作
写真、イラスト、色の使用禁止(白黒のみ)
原稿:私たちは、あなたの冒険にヒントを差しのべるweb制作会社です。
※現サイトメインビジュアルのコピー
制限時間:ひとつあたり15分
できる限りたくさんのイメージ案を作ること
A.パパッと作ったバナー
5年前の僕だったら、こうなっていたでしょう。
え、文字だけ…?どうしたらいいの〜〜!?と苦悩する姿が目に浮かびます。
苦し紛れに部分的にフォントを変えているようですね。
これでも一応言葉は読めますしロゴも認識できますが、どういう会社なのかちょっと不安なところ。
B. 現状サイトに合わせた柔らかいイメージ
おいおい、さっそく図形使ってるじゃないか!…ですか。
いやいや、制約には写真、イラスト、色の禁止とだけあって、図形は禁じられていません。
限られた中での最善を尽くすために、アイデアの採用と提案もデザイナーの腕の見せどころ!
現状サイトのイメージを踏まえて、柔らかく、シンプルに。
webの会社以外に強みとなるワードを目立たせつつ、黒い枠の内側を丸くすることで、優しさと冒険という言葉のワクワク感を強めてみました。
C.今波に乗っている前のめりな熱い企業
まてまて、言葉まで変わってるじゃないかと?
制約には言葉を変えてはいけないとはございません!
今あるコピーが必ずしも最適とは限りません。
言葉もデザイナーが提案できると、グラフィック以外の力として売り出せると思いませんか?
もしキャッチコピーは他の人が考案したものの場合は、本人にも確認してもらっておくと、後で俺のコピー変えやがって…とネチネチ責められることもないでしょう。
C案は文字サイズに強弱をつけ少しはみ出させる+斜めのレイアウトにより 勢いと右肩上がりのノリに乗っている感を演出。
ロゴと何の会社かの説明は、斜めに合わせず添える形で。
サイト内<p>タグのテキスト文章とは違うので、文字でデザインする自由度は意外と高いのです。
D. ユニークな企画で人気な少数精鋭のクリエイター集団
最後は制作会社っぽいイメージを。
不規則だけどちゃんと読めるレイアウトで、しましまのパターンを使って白黒の中にも強弱を追加。
フォントまでユニークにしてしまうと、ただ単に面白いだけでクオリティ面に期待が持てなくなるため、繊細な書体を採用してみました。
デモのロゴだけだと分かりづらいかも?と思い、カタカナの株式会社付き名称も記載。
見返すと手紙のようなイメージにも見えてきて、もっとクオリティアップできそうな気がしてきます!
筋トレを終えて
ちょっぴり長いトレーニングお疲れ様でした!
今回の筋トレではざっと1つあたり15分×4案を作ってみました。
制限がある中でも、見方を変え、手法を変え、イメージを膨らませることで全く違ったテイスト、イメージを作り上げることができます。
本日のトレーニング成果
・そもそもの制限を疑う。デザインできる部分を見つける、作る。
・最終的にはバナー(画像)として利用するため、文字サイズやフォントの制限はない。
・どう見せるか、どう感じてほしいかをまず固める。
・今回は1サイズだけだったが、別のサイズが必要になるケースを想定しておくと、よりスムーズに作成できる。
もっと時間があって縛りがなければ、キャラクターイラストを入れたり、色付け、写真の追加、予算があればGIFアニメーションも…。
たった一つのバナーでも、考え方次第で面白く作ることができるかも。
しかしデザインだけが先走りすぎて、見る人に伝わらなければ意味が無いのも大前提に考えておく必要があります。
いやはや、デザインとは奥が深いもの。
ものづくりを楽しむデザイナーとして、これからも筋トレを続けていきたいと思います。
それではまた次回お会いしましょう。